« 賛同表明をしたブログ[92] | メイン | 国民投票法を議論する国会の実態 »

2006年05月31日

「改憲問題」

みなさん、ご無沙汰をしておりました。
Mr.Hです。

仕事が立て込み、「読書の時間」をとるのが困難でした.
久しぶりの本の紹介になります。
憲法関係で読もうと思っている本がほかにも何冊か目の前にありますので、随時紹介できるようにしたいと思います。

今回は、名古屋大学大学院法学研究科の教授、愛敬浩二さんのかいた 「改憲問題」(ちくま新書)をご紹介します。
kaikenmondai.jpg

愛敬先生は、「ある日の狩田ゼミの風景」という架空の政治思想史のゼミを描き、「ゼミの中での学生と教授のやり取り」で憲法論を展開させています。

この形式から、一問一答式の「改憲派の論」に答えるものかと思って読んでたら大違いでした。
憲法学のエッセンスを詰め込んだともいえる相当、学問的な中身です。
といって、まったく読みにくいものではありません。

「新しい護憲の語り口を模索している」と紹介されているとおり、現代の護憲vs改憲の論議にしっかりかみ合って、従来の「護憲派」の論とは一味違う切り口から、「リアルな現実世界でなぜいま日本国憲法を守る立場に立っているのか」を説いています。
「立憲主義」の歴史や、未来の人を憲法で「縛る」ことについての「プリコミットメント論」など、ネット上の議論などでもなかなかお目にかかれない論点に、かなり学ぶものがありました。
また、「ひたすら現実を追認する者は、「現実主義」という「思想」をもっているのではなく、そもそも「思想」なるものを持っていないのだ」など、ズバッと本質を切り込む口調にも共感ができました。


余談ですが、出てくる学生さんの名字、どこから取ったかわかる人にはわかります。
わかる人だけニンマリしてください。

投稿者 Mr.H : 2006年05月31日 21:00

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://our.sakura.ne.jp/abc/mt-tb.cgi/243

このリストは、次のエントリーを参照しています: 「改憲問題」:

» 護憲派による自殺点☆愛敬浩二『改憲問題』(1) from 松尾光太郎 de 海馬之玄関BLOG
<font size=3> 改憲派にとって便利な書籍が上梓された。愛敬浩二<font color=red>『改憲問題』</fon... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年06月06日 12:46

» うさぎ! from 内申書制度の廃止を求めます
小沢健二さんの「うさぎ!」というお話、もうご存知の方も多いかと思います。 今朝上の子に教わって(電話やメールでよく本の話をします)、今HPで第1話を読んだとこ... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年06月09日 11:38

コメント

憲法九条は賢明であると思うが、泥棒がいるのに警察をやめるようなものである。

投稿者 東條英機 : 2006年06月01日 12:57

東條英機さんの言われる「泥棒がいるのに警察をやめるようなもの」の「泥棒」が何を指すのか、また「警察」が何を指すのかはわかりませんが、日本にはちゃんと警察といわれる組織は存在してます。
また、憲法も禁止してません。
個人的には軍隊と警察は別物だと思いますよ^^

投稿者 : 2006年06月01日 13:49

個人でもできるWEB署名です。
よければまわりにも広めてください。

憲法改悪反対共同センター9条をいかす署名
http://www.kyodo-center.jp/syomei/kenpou.htm

憲法9条にノーベル平和賞をアピール署名
http://www.cpi-media.co.jp/ppwuj-cgi-bin/nobel/nobel_form.html

教育基本法の改悪に反対する署名
http://www.tokyouso.jp/syomei/kenpou/kenpou.htm

教育基本法改悪阻止・賛同カウントアップ
http://www.kyokiren.net/_voice/vote/vote


投稿者 個人でもできるWEB署名 : 2006年06月01日 21:55

■東條英機さん
コメントありがとうございます。

九条の「賢明」さと、「泥棒と警察」のたとえが、それぞれ何を指しているのかがわからないのですが、今回紹介した「改憲問題」の中に答えがあると思いますよ。

たとえば愛敬先生は、最近多い「九条による絶対平和主義」を「ただの理想だ」と切り捨てる議論に、「絶対平和主義に立つ人たちがいたからこそ、九条が現実世界での歯どめになっていたのだ」と説きます。

私がこの本に惚れたのは、理想を神棚に上げるのではなく、理想(=思想)をもっていることが、現実にどう影響を与えるのかを、しっかり話しているからです。

護憲・改憲にとどまらず、憲法論議をする方には必ず読んでいただきたい、と思っています。

投稿者 Mr.H : 2006年06月03日 22:24

■暁さん
先に答えていただいて、ありがとうございます。
軍隊と警察が違うことはもちろんですね。

さらに言えば私は、「比喩」や「たとえ」として、警察と軍隊を、同列に置き換えることはできない問題だと思っています。
泥棒に対しての警察は、起こる前の防犯と、起こってからの捜査、犯人を捕まえることなどの機能を持っていますが、これを国際社会に当てはめるとわけがわからなくなりますからね。

投稿者 Mr.H : 2006年06月03日 22:31

■個人でもできるWEB署名さん
ありがとうございます。

コメントという形でここに書いて、効果的なのかどうかよくわかりませんが、せっかくですから、立ち寄っていただいた皆さんには、私からも「みて共感できる署名には、協力をしてはどうか」と呼びかけさせていただきます。

投稿者 Mr.H : 2006年06月03日 22:34