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2007年02月16日

愛知県知事選挙、「憲法九条を守る」立場から言えること

2月4日の愛知県知事選挙の結果について、護憲の立場の方からもいろんな意見があるようですね。
「民主党推薦の方が僅差で自民公明推薦の方に負けた。共産党推薦の方が出なかったら勝っていたのに」…と言うような。

特に、2月7日の「マガジン9条」の「今週のキイ」で、愛知県知事選挙について同じような論点で触れています。

しかし、愛知県知事選挙の各候補者の立候補にいたる経過は、そう単純なものではありません。
愛知県民であり、知事選挙の経過をある程度知る立場にあるワタクシMr.Hが、知事選挙の事情を少し皆さんにご紹介したいと思います。

まずは今回の愛知県知事選挙の得票数を見てみましょう。
自民・公明推薦の現職神田氏   1424761 
民主・社民・国民推薦の石田氏  1355713 
共産推薦の阿部氏          160827

確かに、石田氏と阿部氏の得票を合計すると、神田氏を抜きますね。
しかし、今回の知事選挙はもともと、共同を進める話し合いがされていたのです!


知事選挙にまず名乗りを上げたのは、元犬山市長である石田氏でした。
彼は元自民党(!)の県会議員だったのですが、犬山の市長についてからは教育問題を熱心に取り上げて、教育の予算を増やして少人数学級を独自につくったり、全国一斉テスト不参加を表明したり、(旧)教育基本法を理念に犬山市独自の教育政策を出したりとわれわれ護憲の立場から見ても面白い政策を進めておりました。

そのため、共産党と、共産党の参加する革新県政の中でも「一緒にやったら?」という話が出ており、石田氏が犬山市長時代にやってきた政策などの吟味を進めていました。

一方、民主党は、四年前は現職神田氏を推薦し、知事の提案議案に四年間で99.8%賛成する、文字通りの県政与党だったのですが、今回、民主党本部の「自民党との安易な共同はやめよ」と言う指示で、石田氏の推薦に回ることを決めたのです。

九月に石田氏から共産党と革新県政の会に共同の申し入れがありました。
革新県政の会は協議をし、政策上共同が可能かどうかをお互い検討するとことになりました。

11月、石田氏と革新県政の会で、ほぼ政策的に合意ができ、月末には記者会見を開いて、共同することを発表するという段階まできたのです。


ところが記者会見の二日前、石田氏に民主党と連合愛知が、「共産党・革新県政の会との共同はだめだ」「協議していくこともだめだ」という申し入れをしたのです。
次の日豊田市での記者会見で石田氏が「私を押してくださる人たちがきめたので…」と、革新県政の会との協議を打ち切ることを発表し、革新県政の会に連絡を入れてきました。

革新県政の会はそれを受けて、12月4日に阿部氏を擁立することを決めたのです。
その直後、社民党と国民新党が石田氏の推薦を発表しました。

これが、愛知県知事選挙の候補者擁立にいたる経過です。
つまり、石田氏一本化の条件は十分にあり、それはもう、花開く直前までいっていたのです。
それを、民主党と連合愛知が横車を押し、石田氏もそれをうけいれてしまったということです。


その後、石田氏のマニフェストには、「憲法」のけの字も載りませんでした。

民主党が護憲の立場に立てるのかどうかは、いろんなご意見があるでしょう。
しかし、残念ながら愛知県知事選挙では、民主党は共同を妨害する立場にたち、護憲うんぬんは選挙の争点の中心にはおかれずに終わったのです。

共産党推薦の阿部氏が唯一護憲を政策に掲げたということは、「願望」はどうあれ、事実の問題として明記しておきたいと思います。

投稿者 Mr.H : 2007年02月16日 17:46

コメント

私も愛知県ですが、Mr.Hさんの仰るとおり民主党と連合愛知のやり方がおかしいと思います。

投稿者 松本哲 : 2007年02月17日 05:44

愛知県のことは、ちらっと聞いていたのですが、よくわりました。

投稿者 松尾ひとみ : 2007年03月11日 20:38

>松本さん
コメントありがとうございます。
返信遅れて申し訳ありません。

民主党と連合愛知は、最初っから「一緒にやるなんてもってのほか」というスタンスだったようです。

それは彼らの事情ですから、まぁよしとしても、候補者である石田さん自身の言動も、「あゆちの会」という石田さんを支える団体の言動をも、縛りをかけるのは、民主的ではないと思うんですよね。

投稿者 Mr.H : 2007年03月11日 21:15

>松尾さん
コメントありがとうございます。

共同は難しいことがいっぱいです。
それでも追求する価値があると、私自身は思います。

しかし、それがうまくいかなかったのを、事情もわからずに一方にとやかくいうのは、次の共同を難しくするのだということを、ぜひ伝えたかったんです。

投稿者 Mr.H : 2007年03月11日 21:17